著者
川合史朗
雑誌
デジタルプラクティス
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.80-87, 2011-04-15

小規模で開発リソースも少ないオープンソースプロジェクトにとって,日本国外への展開は「もっとユーザや開発リソースが増えてから」という,将来のステップのように感じられるかもしれない.しかし,ニッチなターゲットを相手とするソフトウェアならば,対象を国内に限ってしまうことはただでさえ少ないユーザをさらに限定することになる.むしろ最初から国際的に展開しておいた方がプロジェクトの持続に必要なユーザを集めやすい.本稿ではオープンソースのScheme処理系Gaucheの10年間にわたる開発経験から,少ないリソースで国内外にユーザを得る,維持可能な戦略について論じる.