著者
市瀬 博基
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.366-371, 2016-04-10

今回から3回にわたって慶應義塾大学病院看護部のEBP(Evidence-Based Practice:エビデンスに基づく実践)の導入について検討していきます。EBPとは,「臨床意思決定に向けた問題解決手法」であり,看護の文脈では,看護研究における最新の知見,現場の看護師の専門的知識と判断,そして患者のニーズや価値を統合するための仕組みをつくり,臨床実践に反映するための取り組みを指しています1)。 慶應義塾大学病院看護部では,看護の質保証をめざしたこれまでの取り組みを拡張する形で,2013年からEBP導入に取り組んでいます。看護ケアの「実践と並行して評価を行い,その評価を次のケアに活かす活動が体系的に行われる」ための組織的な支援体制を整備し,「実践レベルで(EBPが)浸透することによりPDCAサイクルが回り,エビデンスを活用できる組織に変えていく」ことが狙いです2)。