著者
柳田 寿一 平田 茂留
出版者
日本古生物学会
雑誌
Transactions and proceedings of the Palaeontological Society of Japan. New series (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.74, pp.89-111, 1969-06-30

西南日本外帯の愛媛県上浮穴郡柳谷村中久保付近の石灰岩より産出した腕足類を検討し, 11属14種を識別しえた。これら腕足類化石群の構成要素の多くは, 中国の下部ペルム系太原統および船山統の腕足類化石群のそれらと密接な関係をもち, またテチス地域の各地や南米西部の下部ペルム系産腕足類化石群中にも共通種ないし近縁種を見出しうる。さらにこの腕足類化石群に密接に伴われる4種のフズリナ化石が, いづれも九州矢山岳石灰岩のPseudoschwagerina minatoi帯石灰岩およびこれに対比される各地の下部ペルム系石灰岩を特徴づける種であることから, 腕足類化石群の時代が後期サクマール世であることが明確となった。