著者
勝木 美佐子 中村 雄二 平野 正憲 野本 一臣 今井 道代
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.715-718, 2012 (Released:2013-04-01)
参考文献数
12

目的:ビリルビンは,強力な抗酸化物質であり,動脈硬化予防に作用している可能性があると報告されていることから,生活習慣と総ビリルビン値に関連性があるかを検討した.方法:対象は平成22年に当クリニックを受診し,体質性黄疸が考えられる総ビリルビン値2.3mg/dL以上を除外した21,166名(男性12,622名,女性8,544名)である.生活習慣に関しては,喫煙習慣,飲酒習慣,運動習慣,ストレス,睡眠時間について,自記式問診票にて確認した.体格については,body mass index(BMI)を18.5未満(やせ群),18.5以上25.0未満(標準群),25.0以上(肥満群)の3群に分け,それぞれ総ビリルビン値の平均値について検討した.総ビリルビンは酵素法にて測定した.成績:喫煙習慣について,総ビリルビン値は男女ともになし群,やめた群,あり群の順に有意に高値であった.飲酒習慣については,飲酒習慣のない者が男女とも総ビリルビン値が有意に低値であった.運動習慣については,運動習慣のない者が男女とも有意に低値であった.ストレスと睡眠時間については,男女とも総ビリルビン値と関連を認めなかった.体格については,男女ともに,やせ群,標準群,肥満群の順で有意に高値であった.結論:喫煙習慣,飲酒習慣,運動習慣,体格(BMI)において総ビリルビンとの関連がみられた.今後,ビリルビンと生活習慣病の発症・進展における役割についての検討が必要と思われる.