著者
岩間 文男 広瀬 典子 中村 司 丸田 詮二朗
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.1387-1389, 1971

渡り鳥の一種であるオオヨシキリを, 渡りの直後 (春) および渡りの直前 (秋) に捕獲して, 皮下部分と体内部分に分けて, エーテルで脂質を抽出し, 抽出物をアセトン可溶部と難溶部に分けた。可溶部をケン化し, 不ケン化物を抽出して, アルミナを用いるカラムクロマトグラフィーを行なって, 炭化水素とアルコ一ルに分離した。分離した各部分について, ガスクロマトグラフィー, 薄層クロマトグラフィー, 赤外吸収スペクトル測定, 諸特数測定などを行ない, 春と秋とについて脂質の変化を比較検討した。<BR>その結果春秋ともに脂肪酸の主成分は C<SUB>16</SUB>, C<SUB>18</SUB><SUP>1</SUP>であり, アルコールの主成分はC<SUB>10</SUB>, C<SUB>14</SUB>, C<SUB>15</SUB>, C<SUB>16</SUB>, C<SUB>17</SUB>, C<SUB>18</SUB>であることを明らかにした。またリン脂質としてレシチン, リゾレシチン, スフィゴメリン, ケファリンが, 糖脂質としてサッカローズ, ガラクトーズ, D(-)-リボース, L(+)-ラムノーズなどを構成成分とする糖脂質が存在することを認めた。さらに共役酸として, ジエン酸と少量のトリエン酸が含有されていることを明らかにした。