著者
庭田 満之
出版者
中部日本整形外科災害外科学会
雑誌
中部日本整形外科災害外科学会学術集会 抄録集 第105回中部日本整形外科災害外科学会
巻号頁・発行日
pp.383, 2005 (Released:2007-07-10)

(目的)肋骨骨折の胸部合併症として通常は胸部単純Xp像で気胸の確認だけとなるが、単純Xp像ではわかりにくいものも多いため、今回その頻度や傾向について検討した.(対象と方法)平成17年1月から5月までに、肋骨骨折と診断された51例(男性27例、女性24例)を対象とした.全例にCT検査を施行し、胸部合併症について検討した.(結果)受傷機転は交通事故6例、高所からの転落7例、転倒31例、他7例であった.全症例中で合併症を有する症例は16例(31%)であった.血胸・気胸を12例に認め、5例に胸腔ドレーンを留置した.肋骨以外の骨折を9例、皮下気腫を1例に認めた.交通事故や高所からの転落で受傷した13例中10例(77%)に合併症を認め、7例では血胸や気胸を、8例で肋骨以外の骨折を合併していた.軽微な外傷で受傷した38例中、合併症を有していた症例は6例(16%)であった.5例で血・気胸を認め、1例で肩甲骨骨折を認めた.血胸気胸の12例において、単純Xpで異常所見を認めたものは7例のみで、3例はCT検査で肺挫傷や血胸が判明した.また2例ではCTでも異常所見がなく、経過中に血胸が出現した.肋骨骨折では単純Xpのみでは異常がわからないことも多く、特に、交通事故などでは必ず施行する必要があると考えられた.(まとめ)肋骨骨折の症例では受傷時のCT検査が必須で、血胸などは経過とともに出現することがあり、注意深い経過観察が必要である.