著者
張 化燮
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.55-64, 2005-01-31

本研究は、幾何学的形態による動的イメージ生成過程に、ある特定の視覚要素が重要な手がかりとして働いていることに着目し、それらの抽出を試みた。まず、動的ィメージの生成が想起と操作といった認知記憶システムの働きと不可分の関係にあるということから、言葉の意味解釈を行って我々の記憶に保持されていると考えられる、動きに関わる情報の全体的な類型を調べた。そして、その結果に基づいて作品に対する印象評定を行い、因子分析による解釈を求めた。その結果、動的イメージ生成過程には「方向、間隔、角度、大小、位置、多少」といった6種類の視党要素が密接に関連していることが明らかになった。6種類の視党要素は、想起と操作過程を媒介する役割を果たして様々な動的イメージを引き起すと推測され、今後、操作過程との関係に関する検討が必要であると考えられる。