- 著者
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後中 陽子
- 出版者
- 佛教大学
- 雑誌
- 佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, pp.69-82, 2007-03-01
〈永遠〉はディキンスンの詩の重要なテーマの一つである。詩人は、712番の詩のなかで、死出の旅は「永遠へ向かう」('toward Eternity')旅であると歌っている。それでは、彼女にとっての〈永遠〉とはどこにあるのか、本稿はこの疑問についての解明を目的とする。511番の詩は、恋人を待ちわびる恋愛詩のようにも解せるが、これを宗教詩として読むことで〈永遠〉の在り処が明らかになってくる。ディキンスンの詩は多義的であり、さまざまな解釈が可能である。この小論においては、聖書からの引喩に着目して、宗教詩としての見地からこれら二つの詩を解釈していく。