- 著者
-
後藤 新弥
遠藤 大哉
“地元”柏市の「ふつうの人」のスポーツへの愛好度や,スポーツ活動の実態を等身大で探ろうと,学生らとともに柏市駅前で「町行く人」を対象に調査したまとめ報告である。複数の項目に亘ってアンケートを実施した結果,以下のような興味深い傾向が抽出された。* プロサッカーは好感度が高かった。ところが,地元柏レイソルの大看板の下で調査したにもかかわらず,レイソルの名前を言えない人が2 割以上いた。* さらに,地元柏レイソルの選手を1 人も知らない人が6 割近かった。一方日本代表なら3 人以上の名前を知っている人が9 割近かった。J リーグ側は「地元密着」を掲げているが,現状は地元未着である*大相撲を「大嫌い」と決めつける人が3 割近くいた。八百長疑惑などが背景か。*東京五輪の「招致活動」に好感を抱いたのは半数に満たなかった(7 月時点)。* 文武両道という概念を「重要である」と答えたのは,平成生まれが約44%,大人世代が38%で,若い人の方がスポーツの倫理観を重要視している傾向がうかがわれた。* 「日常的にスポーツをしている」人は全体の42%を占めたが,「したいけどしていない」人が27%に達し,スポーツ行政への大きな課題が見えてきた。* 「町を行くふつうの人」のスポーツ活動へのさらなる支援が必要だと痛感した。東京五輪開催への最優先課題は,イベントとしての成功やトップ選手のメダル数ではなく,実は日本のスポーツの実数値であり,またその土台である,「ふつうの人のスポーツ活動」の支援促進ではないだろうか。