著者
成田 善弘
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.788-789, 1992-09-15

・心気的な患者は心身の些細な不調に著しくとらわれ,これに必要以上にこだわり,重大な疾患の徴候ではないかと恐れ,しかもその心配を他者へ執拗に訴える. ・こういう特徴を示し他に基礎疾患がない場合に,神経症の一型として心気症と診断する. ・心気的訴えの背後には身体疾患が存在することもある.またうつ病,分裂病などの症状としてみられる場合もある. ・心気症患者に対しては,患者の訴えをすぐさま精神的問題に結びつけて「心因性」と決めつけたり,まして詐病扱いすることなく,患者と医師が共有しうる妥協的診断名(たとえば自律神経失調症,脳動脈硬化症など)を用いて医師・患者関係の維持に努め,患者の訴えを十分聞き,苦痛,不安,心細さを受けとめるよう努める.