著者
俵谷 祐吉 戸嶋 守
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.463-470, 1996-06-05 (Released:2010-06-15)

仙岩道路を有する一般国道46号は、明治8年、内務省の許可を得て開削された仙岩峠の道が下敷きとなっており、現在はさらに緊密に秋田県と岩手県のあらゆる面をつなぐ太い動脈となっている。古代から中世にかけては豪族たち強者どもの戦の道として、藩政期は武士たちの往還や経済交易、文化交流の道として、様々な役割を果たしてきた。厳しい豪雪地帯の自然条件が、あらゆるものを拒否しつづけた中で、道に対する試行錯誤はあくことなく繰り返され、ついに大動脈たる地位を獲得した仙岩道路は、現在、一般国道46号として、地域や多くの人のためにその責任を果たしている。本報告は、自動車道路となってらも年間のおよそ半分は交通が途絶した、山岳横断道路のたくましい歴史の実態と、社会に貢献する道路建設の背景を述べるものである。