著者
ラグナー マーティン 手塚 知行
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.1149-1153, 2005
被引用文献数
1

クラフトパルプ工場において環境保全に対応した操業を考慮した場合, 最も注目すべきところは漂白工程であることは周知の事実である。過去25年間の漂白技術に関して振り返ってみると, その技術開発には目覚しいものがあり, また, 今後も更なる進歩が実現されるものと考えられる。<br>2003年春, クヴァナパルピングが開発した最新のファイバーラインが, 南米ブラジルRIPASA工場で操業を開始した。このファイバーラインには, 今日の最新技術すなわち高温二酸化塩素漂白 (DUALD™, D<sup>*</sup>), 加圧過酸化水素漂白 (OP), コンパクトプレス洗浄機―COMPACT PRESS™などが含まれており, 言わば今日の代表的な最新ファイバーラインであると言うことができる。一方, その基準で25年前の代表的な古いファイバーラインを評価すると, 環境保全及び操業効率の面で遅れているところがあると認めざるをえない。しかし, 継続的な投資を通じて, 最新技術に向かって一歩ずつ小刻みながらも改善のステップを積み重ねれば, Aracruz fiberlineAのように既存のファイバーラインを最新技術の特徴を有するものに改善することができる。<br>本稿では, まず最新のファイバーライン技術を簡単に紹介し, 次にこの技術を参照しながら, 制限された予算内での小規模なプロセス改造の実施により, いかに既存のファイバーラインを環境に優しいプロセスへ改良させるか, その方法について考察する。