著者
斎藤充功著
出版者
同朋舎出版
巻号頁・発行日
1995
著者
斎藤 充 丸毛 啓史
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1218-1224, 2009-12-25

■はじめに コラーゲン架橋とは,コラーゲンの分子間をつなぎ止める構造体(共有結合)のことである.コラーゲン架橋に関する研究は,本邦においても30年以上前に整形外科医を中心に盛んに基礎研究が行われていた.しかし,当時は数あるコラーゲン架橋のうち一部の構造体のみしか同定されていなかった.このためコラーゲン架橋の生物学的な機能の解明は進まず,この分野の研究は廃れてしまった.しかし,その後,成熟型のピリジノリン架橋や,老化型架橋である最終糖化/酸化生成物(advanced glycation end products;AGEs)といった架橋構造体が同定され,コラーゲンにおける架橋形成の生物学的意義が次々と明らかにされ,臨床につながる基礎研究として新たな時代を迎えるに至っている18).そこで,本稿では,コラーゲン架橋の代表的機能である骨強度規定因子(骨質因子)としての役割と,その臨床的意義について述べたい.