著者
新見 祐佳 宮治 裕
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2020-NL-245, no.3, pp.1-5, 2020-09-23

近年,うつ病患者は年々増加しており,深刻な社会問題になっている.情報技術が急速に進歩している現代において,無条件で簡単に受けられる心理療法を施すシステムは,新しい解決手段になると考えられる.本研究では,誰でもかかりうる病気であるうつ病を未然に防ぐことを目的とし,自然言語から感情を自動で可視化する機能を搭載した認知行動療法を提案する.認知行動療法の一つであるエクスプレッシブ・ライティングを想定し,フィードバックとして感情を可視化する.感情可視化機能は,感情認識部と感情可視化部の 2 部で構成される.感情認識部では,辞書ベースでアノテーションの付与を行ったデータを用いて,BiLSTM で 6 感情のマルチラベル分類をする.感情可視化部では,分類結果の数値に沿ったグラフでの可視化と,分類結果の最大値の感情に沿った色による Word Cloud での可視化をおこなう.これらの認知行動療法に搭載する機能を提案し,今後の展望について述べる.