- 著者
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新谷 壽久
- 出版者
- 一般社団法人 日本東洋医学会
- 雑誌
- 日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.1, pp.61-66, 2015 (Released:2015-06-29)
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
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『皇漢医学』を著わした湯本求真の処方傾向を知る目的で湯本医院の診療録を調査した。『皇漢医学』を著わす少し前と思われる時期の199症例を対象とした。柴胡剤(大柴胡湯,小柴胡湯,柴胡桂枝乾姜湯)は54%に用いられていた。当帰芍薬散,桃仁承気湯,大黄牡丹皮湯,桂枝茯苓丸を駆瘀血剤とすると,駆瘀血剤は76%に用いられていた。更に併用方剤として黄解丸が43%に用いられていた。2剤~4剤の合方が多く,その特徴は柴胡剤と駆瘀血剤と黄解丸との組合せであった。代表的組合せは1)大柴胡湯 + 桃仁承気湯21例,1)小柴胡湯 + 当帰芍薬散(平均2倍量)21例,3)大柴胡湯 + 当帰芍薬散(平均2倍量)11例,4)柴胡桂枝乾姜湯+当帰芍薬散(平均2倍量)9例,5)大柴胡湯+桃仁承気湯 + 大黄牡丹皮湯5例であった。改めて柴胡剤と駆瘀血剤との組合せで多数症例の根本治療を試みていたことを確認した。