著者
浦上 裕子 川村 光毅 鷲沢 嘉一 日吉 和子 チホツキ アンジェイ
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.209-219, 2013-08-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
29

音を聴覚的に認識し, ハーモニー, 音韻, 旋律など音楽を認知することで前頭前野が活動し行動が起こる。本研究は音楽大学学生5名,音楽専門家1名, 非音楽大学生5名 (21–25歳: 男9女2) を対象とし60 ch脳波を用いて安静閉眼時, 「新世界より」「レクイエム」聴取時, イメージ時の脳活動を計測し, 音楽認知の神経基盤を明らかにすることを目的とした。Morlet waveletによる時間周波数解析を行い, 各周波数帯域の平均信号強度をroot mean squareとして求め成分比較を行った。音楽聴取時は無音安静閉眼時に比べ, δ, α, β, γ活動に有意な減少を認めた。γ活動の減少が最も大きく, 全脳部位で有意に減少した。音楽家は音楽聴取時・イメージ時ともに前頭部γ活動が減少, 非音楽家はイメージ時には前頭部γ活動が増加した。音楽家と非音楽家のγ活動の差は, 音楽という経験による意識や注意, 情動の統合や潜在記憶の差を反映する可能性がある。