著者
門脇 宏 鈴木 啓一 日野 正浩
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.20-24, 2001-03-10
被引用文献数
2

融解後生存率の異なるブタ凍結精液を用いて人工授精を行い,受胎率及び一腹あたりの胎子数または産子数を調査した。供試精液は宮城県畜試で実施中の雄型選抜試験の第4世代12頭のデュロック種雄豚から採取した。凍結ストローの作成は豚凍結精液利用技術マニュアルに準拠した。ただし,前処理液および融解液にはモデナ液を利用した。凍結操作はプログラムフリーザーを用いた方法で行った。凍結融解後の生存率が異なる精液を用いて人工授精を行い,28-44日(平均33.7±5.5日)後にと殺して胎子数を調べた。受胎率および一腹胎子数は,精子生存率45-55%の精液を用いた場合は58.3%および6.4頭であったのに対し,生存率70-80%の精液では91.7%および9.4頭と高い傾向を示し,融解後の精子生存率の高い精液を用いることによって受胎率および胎子数が改善される可能性が示唆された。また,融解後生存率の高い(60%以上)の凍結・融解精液を用いて野外受胎試験を行った結果は,受胎率46.2%および産子数7.8頭であった。