- 著者
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早川 典久
- 出版者
- Japan Association of Mineralogical Sciences
- 雑誌
- 岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.5, pp.135-142, 1952-10-10 (Released:2008-03-18)
- 参考文献数
- 4
1. 葛丸火山の火成活動は,鶯宿岩沢構造線上に生じた陥没地域に,葛丸川上流を中心として行われたもので,葛丸川上流に旧火口を推定することが出来る。 2. 火成活動は第I及び第II期に区分せられ,第I期は石英安山岩活動,第II期は含石英両輝石安山岩活動に屬し,夫々葛根田火山のk1(石英安山岩)及びk2(含石英安即岩)に相当し,葛根田火山に於けると同様に噴出物の性質は酸性より塩基性に向う傾向を示す。 3. 第I期の石英安山岩活動は更にIa~Ieの5期に細分され,各活動期の中間には休止期が存在する。休止期には陥没湖沼中に凝灰質泥岩層乃至砂礫層を沈積する。 4. 陥没湖沼はIa期よりId期初頭迄は存在したことが考えられるが,Id期中に全体が陸化し, Id期と1e期の間の休止期には局部的な,小陥波が起つて,硫黄鉱床が生成されている。 5. 第I期石英安山岩活動の噴出物の性質は葛丸火山全体を通じて示される傾向と同様に酸性から塩基性に向う性質を示す。