著者
小形 真平 早川 弘基 海谷 治彦 海尻 賢二
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_147-1_160, 2015-01-26 (Released:2015-02-11)

e-commerceサイト等のWebシステムにおいて,ユーザは一般にミスや心変わりから値を頻繁に再入力するため,目的を達成するまで入力値を一時保存する入力保存機能は役立つ.しかし,本機能は上流工程で決定される入力値の作成/更新タイミング等に依存するが,本機能の分析・設計を支援する方法はない.本論文は,入力保存機能を含めた画面遷移モデルを表せるようにUML記法を拡張し,画面遷移とシナリオを表す方法とユーザの入力する値の量を見積るユーザビリティ評価方法を提案する.そして,提案方法の有効性を示すため,手動ではユーザの入力負担を定量的に算出し,どの程度改善できそうかを示すことが困難であることと,提案方法で見積った値の高さとユーザが感じる負担の大きさは順序的に関係があることを実験にて実証し,提案方法による開発者の負担が従来方法(手動プロトタイピング)と比べて低いことを実験結果に基づいた考察により示した.