著者
奥村 大 春日井 彰志
出版者
日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.20160020-20160020, 2016

本研究では, ポーラスゲル膜に生じる膨潤誘起パターン変態の有限要素解析を行う. 高分子ゲルのための不均質場理論は市販の有限要素解析ソフトのユーザー材料サブルーチンに実装されて用いられる. 膨潤過程は外部溶媒の化学ポテンシャルを増加させることによって再現される. 座屈点と座屈モードを調べるために, 座屈固有値解析を行うが, この解析では化学ポテンシャルを用いることができないため, 代替的な増分負荷パターンを用いることを考える. この方法は, 正方配列に円孔を有するゲル膜のパターン変態を解析することによって検証される. 解析では, 基準状態での化学ポテンシャルの値に関わらず, ダイアモンドプレートパターンがうまく予想されることがわかる. 一方, 基準状態が座屈点から離れるにしたがって, 座屈応力は過小評価され, とりわけ本研究では, 最大40%, 過小評価されることがわかる. さらに, 大きな周期単位の解析によって, ダイアモンドプレートパターンが最も支配的な座屈モードであることもわかる.