- 著者
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内村 祐之
倉本 誠
曽根 謙一
- 出版者
- 水産増殖談話会
- 雑誌
- 水産増殖 = The aquiculture (ISSN:03714217)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.4, pp.573-577, 2011-12-20
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
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アコヤガイ赤変病が発生以来、収穫された真珠にレンガ色の真珠(濁り玉)の割合が増加した。この真珠は収穫された真珠の有機物を除去する脱色作業でも除去されないことが多いため、真珠生産者では商品価値のある真珠の収量は激減した。そこで、レンガ色の正体を明らかにするため、濁り珠を破砕し抽出した真珠の色素のNMR分析と、電子顕微鏡による正常な真珠との結晶構造を比較した。色素のNMR分析では、これまで報告されたメラニンのほかに、アコヤガイ体内のラジカル損傷産物である過酸化脂質が検出された。一方、電子顕微鏡観察では、濁り珠は正常な真珠に比べ稜柱層が有意に厚いことがわかった。抽出された色素は、真珠加工会社の脱色過程で除去されることから、レンガ色の正体は厚く形成された稜柱層にあると考えられた。