著者
有安 則夫 中原 仁 山田 徹夫
出版者
岡山県農林水産総合センター畜産研究所
雑誌
岡山県農林水産総合センター畜産研究所研究報告 = Bulletin of the Institute of Animal Production Okayama Prefectural Technology Center for Agriculture, Forestry and Fisheries (ISSN:2186831X)
巻号頁・発行日
no.2, pp.39-44, 2012-09

超高能力牛群造成高度利用システム化事業は2012年で開始から20年が経過し、県下酪農家では509頭の泌乳成績が得られるまでに至っている。そこで、各酪農家で生産された超高能力牛産子(以下、エリート)および同居牛を対象に牛群検定成績から305日補正乳量等をとりまとめた。1 県下酪農家において630頭のエリートが、さらにその娘牛等704頭を含めると1,334頭((社)ホルスタイン登録協会登録数H24. 2. 29現在)が生産されている。2 エリートの泌乳成績が得られている1998年の補正乳量は県下平均は9,447kgであるのに対し、エリートの平均は9,849kgと402kgの乳量差を認めており、改良に大きく貢献している。また、2010年の県下平均は10,687kg、エリートの平均は11,081kgと乳量差は394kgであり、1998年とほぼ同量の乳量差を維持していた。3 遺伝能力を示すEBV(推定育種価)は、エリートは常に高い値で推移しており、酪農家での同居牛群とのEBVの比較においても高い成績となっており、遺伝能力についても優良な形質を兼ね備えていることがわかった。また、総合指数や産乳成分についても同様であり、それぞれの県下TOP100に占める割合も2割~3割程度で推移していたが、2010-1評価からの構成要素の変更等に伴い、現在では1割を切っている。4 今後はエリートに適した飼養管理技術の指導にも重点を置いていく必要がある。