著者
藤本 真記子 坂江 千寿子 佐藤 真由美 上泉 和子 角濱 春美 福井 幸子 木村 恵美子 小山 敦代 杉若 裕子 秋庭 由佳
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.321-329, 2005-12-28

看護における新しい考え方、方法の普及速度に差が見られることから、普及に関する影響要因を検討する目的で、全国47都道府県から規模別に抽出し、調査協力が得られた141施設の看護部責任者及び各施設10名のスタッフに質問紙調査を行った。看護部責任者、スタッフそれぞれに質問紙を作成し、個人の属性、施設の状況に加え、革新性(知的興味、上司の姿勢など普及に影響すると考えられるもの)に関する質問に4段階の尺度で回答を得、返送された看護部責任者の有効回答124部、ナースの有効回答886部を対象に、属性と革新性との関係を分析した。その結果、看護部責任者で、「新しいことを取り入れ広める時、チームや委員会を組織する」「リーダークラスの看護師に根拠を説明する」「学会や看護協会などの情報を活用する」などで平均得点が高く、「降格人事をしている」が低かった。スタッフは、「研修の参加者は、内容を伝達し広める使命がある」「病棟では協力体制がある」「病棟責任者は積極的に研修を勧める」などで、低い項目は、「新しいことを取り入れるのは提案者が誰かによる」「新しいものを受け入れにくい理由として『時間がとれない』『面倒だ』と感じることがある」「病棟責任者は『トラブルは引き受けるから』という姿勢である」などであった。属性との関係では、「研修伝達の使命感」は、学会・研修参加回数、講読雑誌数が多い群が高く、20代が低かった。「面倒、時間がない」は、高い年代の群がやや高かったが、全体として低い点数であり、研修伝達と同様、看護者としての使命感が強く自覚されているのではないかと考えられた。学会・研修会、雑誌など、情報へのアクセスと革新性の関連が確認でき、これを普及にうまく活用していくことの重要性が示唆された。
著者
坂江 千寿子 秋庭 由佳 上泉 和子 佐藤 真由美 藤本 真記子 福井 幸子 木村 恵美子 角濱 春美 小山 敦代 杉若 裕子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.341-348, 2005-12-28

看護師がイノベーションと認識し、かつ、研究的根拠が明白な看護技術の採用程度とその看護師が所属する看護部の組織的要因との関連性について探求することを目的に、病床数規模別に無作為抽出した看護部責任者141名、及び、各病院10名のスタッフナース計1410名を対象に調査した。スタッフには根拠のあるイノベーティブ看護技術22項目について、E.M.Rogersの普及決定過程における段階モデルを用い質問し採用度を算出した。責任者には、個人的特性の他、雇用状況、研修費用、病院の管理運営会議への参加、研修機会、情報収集の手段、地域交流、専門看護師の勤務形態等、24項目の組織特性を質問し、返送された127部(90.1%)中、有効回答124部、スタッフナースの有効回答886部を分析対象とした。その結果、イノベーティブ看護技術の採用度と看護部の組織特性の関連では、「専門看護師や認定看護師の配置」*、「病院機能評価をうけている」*、「教育・研究機関の併設」**、「院内教育プログラムやセミナーの公開」**、「院内情報ネットワークの整備」*、「文献検索手段としてのインターネットの利用」*、「院外研修の伝達共有の場」**の質問項目で、有意な関連が認められた。さらに、「看護部の意志決定を委員会に委譲することがある」*、「専門性の高い看護師の勤務形態の工夫」***という回答は、組織特性であると同時に、その組織特性を形成する責任者個人の特性としても解釈でき、改めて、看護部責任者の姿勢の重要性が明らかになった。*:p<0.05、**:p<0.01、***:p<0.001
著者
木村 恵美子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.289-295, 2006-12

リンパ浮腫ケアの中では患肢の挙上が最も多く実践されている。そのケア効果検証の準備段階として、患者が行っている「患肢の挙上」の実態を把握することを目的として5名のリンパ浮腫患者に半構成的インタビューを行った。その結果、1.対象者の平均年齢は57.2歳、原疾患は乳がん1名、子宮がん4名、リンパ浮腫発症時期は、手術退院直後〜11年の幅があった。リンパ浮腫の病期は、I期2名、II期3名で、患肢部位は、子宮がん術後患者で左下腿のみ2名、左下肢2名、乳がん術後で左上肢1名であった。2.患肢挙上方法:挙上時間は平均7時間半で、高さは5〜13cm、挙上に用いる物品は、綿素材の薄い布団、テンピュール枕等で、患肢を乗せる面を広くする工夫をしていた。患肢挙上中に圧迫療法の併用はなかった。3.患肢挙上効果:手指や手背の浮腫軽減は軽度にある、あるいは不規則ながらあるという「効果あり」は2名。浮腫軽減はないが習慣で挙げている、挙げると気持ちがいいので行っているのは2名、残り1名は、挙上することで合併症を引き起こした。患肢挙上の目的は浮腫軽減だけではなく、また、リンパ浮腫の病期と効果の有無に関係はなかった。Limbs-up is the most popular care for Lymphoedema patients. The aim of this study is to research the actual circumstances for limbs-up of patients. I interviewed to five patients. In results, Patient's age 57.2 (mean), Breast cancer ; 1 patient, Uterus cancer ; 4 patients. The term of Developing Lymphoedema were 11 years from right after operation. Stages of Lymphoedema were stage one ; 2 patients, stage two ; 3 patients. Part of swollen limbs were left shin ; 2 patients, left femur and shin ; 2 patients, and left arm ; 1 patient. The actual circumstances for limbs-up were 1. Lifting time was a half and 7 hour (mean), 2. Height was 5-13cm, 3. Goods for limbs-up were thin mattress with cotton, pillow with tempur. An idea was to keep wide on lifted bed, not partial. All of patients lifted their limbs without multilayer compression. Effect of limbs-up were mild or irregular ; 2 patients. 2 patients lifted their one despite none effect. because, custom for sleeping, relaxation. One patient drew urination disorder by low limbs lifting. Effect of limbs-up between stage of Lymphoedema was unrelated.国立情報学研究所の「学術雑誌公開支援事業」により電子化されました。