著者
西森(佐藤) 婦美子 松川 義純 松田 康平 木田 正博 斉藤 輝夫 藤原 久義
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.721-726, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2

小半夏加茯苓湯の方意を含む漢方薬治療で症状の著明改善が図れたパニック障害の3例を経験した。症例1:47歳男性,運転士,血圧上昇を伴う一過性脳虚血発作を引き金に発症。身体疾患の発症がストレスを増強させ心下の気水が鬱して痰熱となりパニック発作になったと考えられる。小半夏加茯苓湯に黄連湯の方意をあわせて症状は消失した。症例2:49歳女性,主婦,家庭内のストレスをきっかけに発症。肝血不足,疎泄不良と脾虚が重なり心下の飲を起こしたと考え,小半夏加茯苓湯を含む茯苓飲合半夏厚朴湯エキスに加味逍遙散エキスを合わせて奏効した。症例3:32歳女性,主婦,子育ての疲労をきっかけに発症。疲れによって脾虚から心下の飲がおこるとともに血虚に陥ったと考え,小半夏加茯苓湯と十全大補湯合方を用い奏効した。『金匱要略』の方剤小半夏加茯苓湯は,中焦の飲と気の上逆を引き降ろすことで「心下痞」「眩悸,」を全例で改善し,症例毎に随証治療をあわせおこなうことでパニック発作が消失した。