著者
本林 透 岩崎 弘典
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.106-111, 2009-02-05

フェルミ粒子である陽子と中性子からなる系であることを反映し,原子核は原子と同じように殼構造をもつ.陽子と中性子それぞれに魔法数があるのが特徴であり,どちらか一方の核子数が魔法数となる場合には,まわりの原子核に比べて安定になる.また,原子核における魔法数の存在は宇宙における元素合成のシナリオとも密接に関連している.極端に中性子が過剰な原子核では,この魔法数が消失したり,新しい魔法数が出現したりすることが,不安定核ビームを用いた実験研究からわかってきた.ここでは,その契機となった^<32>Mgのクーロン励起実験と魔法数研究のその後の展開について解説する.