著者
本谷 徹 須田 礼仁
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2012-HPC-133, no.30, pp.1-8, 2012-03-19

連立一次方程式の反復解法として広く使われている共役勾配法を大規模に並列化した際に律速となるのは,頻繁に現われる内積計算の通信遅延である.内積計算は計算機全体の集団通信を必要とすることから,大規模なアーキテクチャでの通信遅延は大きくなる.また強スケーリングにおいては計算粒度が小さくなり,通信遅延は相対的が大きくなってしまう困難を抱えている.物理的制約を超えての通信遅延削減は不可能なため,アルゴリズム側のアプローチによる通信遅延の削減が必要とされている.本稿では,共役勾配法の k+1 反復分の内積計算に必要な通信を 1 回で済ませることで集団通信を回避し,通信遅延を削減するk段飛ばし共役勾配法を提案,実装した.