著者
杉村 広郞
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.51-53, 1952-06-01

私達が時々村へ入つて行くと,よく次のような話を耳にする。—— 「この附近の主婦さん方の一番の惱みの種は,子供の数が多いということなんです。貧乏者の子沢山とはよく言つたもので,こう経済的に苦しくなつて来ると,子供はもうコリゴリだと悲鳴を挙げている奧さん方が多いんです。……炭燒きという重労働を強いられた上に,細々としたその日暮しで子供が7人も8人もでは,第一自分の身体がもちませんし又経済が益々苦しくなるだけですからね。……しかし,そうゆう苦しさに迫られ乍ら,子供を生まぬようにするにはどうしたらよいかといこうとも知らず,次々に生んで行くんですから全く慘めなものですよ。……」