著者
松井 俊浩
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2_62-2_71, 2006 (Released:2006-06-30)

3次元の幾何モデルを記述し,その上でロボットの環境認識機能や知的行動計画プログラムを記述するための言語,EusLispの概念と実装について論ずる.ロボットの知的機能の実現にはオブジェクト指向が最適であるとの考えに立ち,言語の基本機能としてオブジェクト指向を実装し,その上にCommon Lispと同様な関数プログラミング機能を実現する.オブジェクト指向とLispの関数を融合するために,階層的なクラス継承木の中で定数時間で型判別を行える仕組みを導入している.不定長のオブジェクト管理のメモリ効率を向上させるため,フィボナッチバディによるメモリ管理を行う.非同期,並列プログラミングのために導入したマルチスレッド機能とスレッドごとに分割したメモリ管理機構の評価を行う.これらによって効率よく実現された幾何モデラーと,ロボット向きのEusLispの応用を2例示す.