著者
松屋耳鳥斎
出版者
河内屋喜平衛[ほか3名]
巻号頁・発行日
1805

耳鳥斎による風俗絵本。3巻。文化2年(1805)初春、大坂今津屋辰三郎ほか3軒連記。大本合1冊。世の中の様々なものを対偶的に捉え、互いにその番の妙を競わせるという趣向。滅窓の序にいうように、山東京伝の『絵兄弟』などに影響を受けたもので、題名の「図賀比」は番の意味。番とする題は、「しうぎ(祝儀)」と「ぶしうぎ」等の単純な対概念に加え、「さらへこう(復習講)」と「かねこう(鉦講)」、「だいさんもの(代参者)」と「おくびやうもの(臆病者)」、「たゆうしよく(太夫職)」と「しやくしかけ(杓子掛)」、「ちしや(知者)」と「ねんじや(念者)」等多様。登場する人物の醸す風情が、耳鳥斎特有の剽軽な筆致で描かれ、地口を交えた詞書は、その場の雰囲気をいっそう際立たせる。(鈴木淳)