著者
松本 友香子
出版者
奈良大学大学院
雑誌
奈良大学大学院研究年報 (ISSN:13420453)
巻号頁・発行日
no.6, pp.234-240, 2001-03

「阿弥陀二十五菩薩来迎図(阿弥陀聖衆来迎図)」(以下「来迎図」とする)とは、臨終を迎えつつある人間の魂を阿弥陀如来が聖衆とともに西方浄土から迎えに来る様を描いた図のことである。その聖衆のなかに楽器を奏し舞を舞う一群(以下伎楽菩薩とする) があり、それはあたかも天上の舞楽団のようである。本論はこの伎楽菩薩とその持物である楽器に着目し、来迎図における彼らの役割、ひいては来迎図という仏教絵画のなかでの音楽表現の意味について、絵画的な観点からの考察を試みたものである。