著者
野田 敏郎 松浪 斉
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
ポリマー材料フォーラム講演要旨集 第13回ポリマー材料フォーラム
巻号頁・発行日
pp.230, 2004 (Released:2010-03-29)

プラスチックは軽量性や透明性に優れ、加工が容易で経済的なため幅広く用いられている反面、軟らかく傷付き易いため、表面にハードコート処理を施す必要性がある。しかしながら昨今の市場要求は、単純に硬さだけをもたせるのではなく、防汚性、帯電防止、防曇性といった機能性を付与したものが多く、弊社でもそれらの機能性を有するUV硬化型ハードコート剤の開発を鋭意検討している。本報では、防汚性コーティング剤の開発について報告する。日常生活のなかで、「汚れ」は避けられないものである。携帯電話やタッチパネルのディスプレイ、プラスチック成形物、壁紙等は、人の手に触れることで指紋や皮脂が付着する。また、時にはマジックインキなどの拭き取り難い汚れが付着することも考えられる。これらの汚れが付着すると美観を損ねるだけでなく、場合によっては機能の低下をもたらすこともある。これらの弊害を防ぐため、従来はハードコート剤にシリコーン系添加剤を添加するといった処方が用いられてきた。シリコーン系添加剤は、表面自由エネルギーが低いという特性も有するため、有効成分が表面にブリードした塗膜となる。その為、シリコーン系添加剤においては、繰り返し使用において効果が持続し難いといった防汚耐久性に問題点がある。我々は上記の課題に着目し、シリコーン成分をUV架橋オリゴマーに導入することで、防汚耐久性に優れた特性を有するUV硬化型の防汚性コーティング剤を開発した。本報では、弊社開発品に関する特性について紹介する。