著者
服部 桜子 阿部 勇人 山崎 慎太郎 高根 希世子 松野 順敬 吉田 直 檜垣 時夫 高山 忠利 下田 勝巳 仲沢 弘明
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.944-948, 2015

症例は36歳女性.横隔膜に浸潤する径11cmの巨大な肝原発性卵黄囊腫に対し肝部分切除および横隔膜合併切除を施行した.術後2カ月に横隔膜下に局所再発を認めたため,広範な横隔膜合併切除を伴う再肝切除を予定した.横隔膜欠損孔の単純閉鎖が困難であったため,5cm×5cmの欠損孔に対し右大腿筋膜を用いて再建を行い良好な結果を得た.大腿筋膜は遊離移植片として短時間で簡便に採取できる生体材料であり,人工材料と比較して感染に強く,機能欠損も認めないため,有用な再建材料の一つである.広範な横隔膜合併切除が必要な際に,大腿筋膜による横隔膜再建術は一般外科医にも行える有効な手段の一つと考えられたため,若干の文献的考察を加え報告する.