著者
高橋 英紀 板垣 昭彦
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.13-18, 1980
被引用文献数
4

湖沼が周辺地域の自然や農業に及ぼす影響を知る手がかりとして, 湖沼周辺の局地気候に関する研究を開始し, 第1報では洞爺湖周辺の冬期の気温分布について報告したが, 今回は春から夏にかけての同地域の気候調査を行なった。1977年6月の観測は冬の観測と同様, 銅・コンスタンタン熱電対温度計のセンサーを自動車の屋根にとりつけ, 気温を記録しながら湖岸にそって周回し, 気温分布をしらべた。1978年4月~5月の観測では湖の北西岸の地域に6ケ所の観測点を設けて最高・最低気温を測定し, そのうち4観測点では気温を自記させた。得られた結果を要約すると次のごとくとなる。<br>(1) 湖周辺全体の気温分布は, 日中, 気温が水温より高いときには湖の風下で明瞭な低温域が見られ, 風上地域と約4℃の差があった。<br>(2) 湖の風下地域では湖岸から内陸に入るにともない気温は上昇したが, 約1.5kmまで湖の影響が見られた。<br>(3) 湖岸と内陸との気温差は風向により大きく異なり, 湖から吹く時は, 日中で約6℃の差が観測された。