著者
神 一敬 板橋 泉 中村 美輝 中里 信和
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.40-44, 2020-02-01 (Released:2020-02-06)
参考文献数
22

焦点てんかんは, 焦点の局在により, 発作に対する睡眠の影響という点でそれぞれ異なった特徴がある。後頭葉てんかんは覚醒中の発作が多いのに対して, 前頭葉てんかんは睡眠中の発作が半数以上を占める睡眠てんかんの代表的疾患である。前頭葉てんかんでは, 焦点性間代発作, 非対称性強直発作, 過運動発作 (運動亢進発作) といった運動症状をきたす発作がみられる。睡眠中に異常運動・行動をきたすため, ノンレムパラソムニア (ノンレム睡眠からの覚醒障害群) との鑑別が問題となる場合があるが, 発作が一晩に複数回群発することがある, 運動症状がステレオタイプで無目的である, といった点が鑑別点として重要である。終夜睡眠ポリグラフ中にイベントが記録されれば, 前頭葉てんかんの発作はノンレム睡眠stage N2に起きることが最も多いのに対して, ノンレムパラソムニアはノンレム睡眠stage N3に起きる点が特徴である。