著者
板谷 慶一 山岸 正明 夜久 均
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.371-384, 2017

<p>近年のコンピュータ技術の進歩に伴い循環器画像診断は変容を遂げつつある.カラー3次元動画を自在に使えるよう今日,心臓血管の形態のみならず血流をわかりやすく可視化する技法である『血流解析』が台頭しつつある.血流解析では異常血流を可視化し,乱流がもたらす心筋や血管内皮への力学的なストレスを可視化し,心臓弁膜症,心筋症,冠動脈疾患,大動脈疾患など幅広い循環器疾患において病態生理の詳細に迫ることが可能になる.また,これらの力学的なストレスが心不全や血管イベントなどを予測できるのではないかという期待がある.特に,先天性心疾患は解剖も生理学も複雑で,複雑な修復を余儀なくされ,従来血流解析と最もなじみの深い領域であった.また昨今の周術期管理の向上により遠隔期を迎える患者も増多しており予測医療としての血流解析の担う役割は大きい.本稿では血流解析手法の詳細を説明すると同時に先天性心疾患での役割を議論する.</p>
著者
板谷 慶一
出版者
医学書院
雑誌
循環器ジャーナル (ISSN:24323284)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.488-498, 2019-07-01

Point・血流解析は流体力学の基盤である数理理論と循環器病学の基盤である循環生理学に深く根ざした学問であり,技術開発にはこれらの基礎学問のコンセプトを要する.・血流解析は流体力学同様「場の理論」であり,統計学や機械学習などのデータサイエンスとは異なるアプローチであるが,まだ経験の蓄積やデータが十分でない疾患の診断・治療には威力を発揮しうる.・MRIや超音波計測に基づく血流解析は心機能診断の一環として系統的な血流診断をするべきであり,CFDシミュレーションでは非解剖学的な血行再建などの「仮想手術シミュレーション」が可能である.
著者
板谷 慶一 山岸 正明 夜久 均
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.371-384, 2017-09-01 (Released:2017-11-08)
参考文献数
75

近年のコンピュータ技術の進歩に伴い循環器画像診断は変容を遂げつつある.カラー3次元動画を自在に使えるよう今日,心臓血管の形態のみならず血流をわかりやすく可視化する技法である『血流解析』が台頭しつつある.血流解析では異常血流を可視化し,乱流がもたらす心筋や血管内皮への力学的なストレスを可視化し,心臓弁膜症,心筋症,冠動脈疾患,大動脈疾患など幅広い循環器疾患において病態生理の詳細に迫ることが可能になる.また,これらの力学的なストレスが心不全や血管イベントなどを予測できるのではないかという期待がある.特に,先天性心疾患は解剖も生理学も複雑で,複雑な修復を余儀なくされ,従来血流解析と最もなじみの深い領域であった.また昨今の周術期管理の向上により遠隔期を迎える患者も増多しており予測医療としての血流解析の担う役割は大きい.本稿では血流解析手法の詳細を説明すると同時に先天性心疾患での役割を議論する.