著者
徳永 惇 栗林 祿郎
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
日本鑛業會誌 (ISSN:03694194)
巻号頁・発行日
vol.60, no.709, pp.180-184, 1944-05-22 (Released:2011-07-13)

筆者等は先般來各種銅合金屑の電解による分離再生に關する研究を行ひ好結果を得、黄銅屑、青銅屑、白銅屑の電解分離に關する研究報文は既に本會誌に發表したが其後青銅・燐青銅の電解分離の研究實績が得らるるに至つたので茲に其の大要を報告する。青銅を陽極として電解する場合陽極中の錫を陰極に入らしめない様にするのに如何なる條件を選べきかを特に追求しi) 電解液の温度を50~55℃程度に高く保つ事。ii) 電解液物中のH2SO4を30g/L. 程度以下に保つ事。iii) 陽極中に少く共10%程度のZnを含ましめ陽極の分極法防止劑として働かしむる事。等が最も緊要な條件であり、此等の條件を満足せしむれば陽極中に5~10%或はそれ以上のSnを含む場合でも陰極中に入るSnを0.005%以下に抑壓する事が出来る。燐青銅を陽極とする場合は陽極中の燐が液中に入り燐酸錫の疎水性沈澱を作りSnを液相又は膠質懸濁相から除去するから陰極銅の品位は益々良好となる。燐酸曹達を液中に投じても此の好結果が得られる。