著者
福岡 捷二 渡邊 明英 關 浩太郎 栗栖 大輔 時岡 利和
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.740, pp.31-44, 2003-08-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
10
被引用文献数
2

我が国の洪水流は, 洪水位上昇時の時間変化率が大きい特徴を持っている. さらに, 大河川中下流域の河道横断面形状は低水路と高水敷からなる複断面形が採用されている. このことは複断面河道における洪水流の水理現象は, 洪水ごと, 河川ごとさらには, 河川の区間ごとに異なることを示しており, 複断面河道の洪水流を深く理解することが必要である. 本文では, 複断面河道における洪水流の非定常水理現象に焦点を当て, 洪水流の水理現象のうち, 特に河道内における貯留に及ぼす河道特性と洪水流特性の影響について詳細に検討した. これより, 洪水流の非定常性, 河道の平面形, 横断形などの断面形状および下流端条件が, 洪水流の流下に与える影響を明らかにし, 洪水流の河道内「貯留」の評価を行い, 今後の治水計画の新しい方向性を示した.