著者
栗波 哲 杉本 雅俊
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.23-26, 2007 (Released:2007-03-08)
参考文献数
6

モチ米粒の湿熱処理が糊化温度,色調および餅生地の硬度に及ぼす影響を検討した.北海道産ハクチョウモチを用い,米水分含量を15.2および20.3%に調整し,限定された水分存在下での加熱(密閉系)の場合と相対湿度100%での加熱(開放系)の場合の両方で湿熱処理を実施した.湿熱処理によって,モチ米の糊化開始温度は高温側に移動し,餅生地の硬化は促進した.糊化開始温度の高温側への移動は湿熱処理方法,加熱温度,時間および米水分含量の影響を受けた.有効積算温度〔(処理温度-80℃)×処理時間(h)〕と糊化開始温度の増加との間に密接な関係があることが認められた.有効積算温度が密閉系では120(℃·h),開放系では60(℃·h)で糊化開始温度はほぼ一定となった.湿熱処理によってモチ米の白色度は低下したが,とう精歩合を88%にすることにより白色度は改善された.