著者
梅本 清作
出版者
The Phytopathological Society of Japan
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.212-218, 1991-04-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
10
被引用文献数
5 6

ニホンナシ黒星病菌分生子をナシ葉へ接種した後の葉の濡れ時間および温度と発病程度との関係について検討した。9時間濡れ状態に保持した場合,15°Cでわずかに発病し,12時間以上では5∼25°Cで発病し,20°Cで最も多発したが15°Cもそれに近い発病であった。一方,30°Cでは36時間濡れ状態に保持した場合および5∼25°Cで6時間以内の濡れ保持時間では発病しなかった。これらの結果は,Millsがリンゴ黒星病で得た結果と酷似し,素寒天培地上における温度別分生子および子のう胞子の発芽状況および20°Cで濡れ状態に保持した場合のナシ葉上における分生子の発芽・侵入行動ともよく一致した。また,分生子と子のう胞子のナシ葉に対する病原性はほぼ同一であることが確認されたので,以上の結果は子のう胞子による感染場面にも適用できると考えられた。