著者
梓川 一
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.156-165, 2011-12-29

本論は、千里金蘭大学での福祉教育を振り返りながら、社会福祉援助の意味とその本質について3つの視点から再考する。第1の視点は、概念把握である。ソーシャルワークの概念を確認し、専門職者の要件を専門性の保持、倫理と責任にみる。第2の視点は、歴史的変遷と援助観である。確立期・発展期・統合期・批判期に沿って援助観の変化・揺れを確認する。第3の視点は、価値認識の考察と検討を行う。1.学問としての社会福祉学に価値認識は必要であるかの検討、2.功利主義の考えは社会福祉援助に通じるかの検討、3.家庭において価値認識はどのように形成されるかの検討、4.人間の尊厳、実存主義から社会福祉の価値認識の意味の検討、以上4点である。最後に、援助の本質を再考する。援助の関係は、優劣の関係性(優越感と劣等感の認識)に基づいているという点に焦点をあて、専門職者は援助の意味・目的を改めて自覚すべきであることを提言する。