著者
梶原 太一
出版者
日本会計教育学会
雑誌
会計教育研究 (ISSN:21885575)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11_7-11_16, 2023-06-01 (Released:2023-07-12)
参考文献数
8

本稿は,遠隔授業時代の大学会計教育の担当者がどのような課題や変化に直面しているのかを解明するために,質問票調査を実施し,回答結果に見られる傾向を考察する。特に,会計教育の内容・方法・目標の変化,遠隔授業への対応と評価,遠隔授業と学習者中心の教育パラダイムの関係等を検証する。会計教育の内容・方法・目標に関する先行調査との比較では,遠隔以前と同様の傾向が観察され,遠隔授業時代にあっても不変の会計教育の本質の一端が示された。教授法の違いに注目すると,学習者同士の協調的な学習を志向する場合ほど,教員の感じる遠隔授業のつらさが高まり,対面授業を希求する兆候が示された。遠隔の弱点には,学生間や教員との交流の制限,教員による学生の反応や理解度の把握の困難,とする回答が多く寄せられた。遠隔でのフィードバック機能を兼ね備えた新しいテクノロジー等でこの弱みを克服できれば,遠隔授業の可能性は拡大する。