著者
森 瑛子 及川 哲郎 小田口 浩 花輪 壽彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.121-126, 2020 (Released:2020-12-07)
参考文献数
15
被引用文献数
1

女神散は「血の道症」に対して使用される処方であるが,婦人科三大処方と呼ばれる当帰芍薬散,加味逍遙散,桂枝茯苓丸と比較すると使用頻度は低く,多数例における使用経験をまとめた報告は少ない。そこで今回女神散の臨床応用に役立つ使用目標を明らかにするため,当施設で過去5年間に女神散を処方された症例のカルテを後方視的に検討した。その結果,女神散が有効な患者は身体的・精神的ストレスを背景とする気の異常と瘀血を伴う一方,水滞の兆候は認めないことが多かった。これらの所見は,女神散の効果的運用に役立つと考えられた。