著者
西本 右子 森下 裕子 貝塚 美保子
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.701-706, 1996-07-05
被引用文献数
17 6

強酸性電解生成水溶液は, 消毒・殺菌効果やかいように対する治ゆ効果を有し, 病院内で水道水と機器により簡便に生成できるため医療分野で使用され, 効果が報告され始めている.生成条件を検討したところ電解電流値や電解助剤濃度の多少の変動では物性値に大きな変化は見られず, 使用する医療機関による水質の差異は少ないものと考える.又, 5日間程度は保存可能であることも分かった、排水としては, 同時に生成する強塩基性生成水溶液を混合することで緩和できることも確認できた.強酸性電解生成水溶液の特徴の一つである高い酸化還元電位には塩素が関与することが明らかとなった.pH・酸化還元電位・有効塩素濃度等に関しては電解によらず試薬の混合のみで同一レベルの水溶液が調製できた.又, ^<17>O-NMRによる測定でも特に変わった点は見いだせなかった.強酸性電解生成水溶液の示す特性の多くは電解操作自体ではなく, 電解によって生じた条件の再現で説明される.