著者
森岡 基浩
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.39-45, 2013 (Released:2013-05-15)
参考文献数
13

舌咽神経痛 (Glossopharyngeal Neuralgia: GPN) は嚥下等の誘因により誘発される耐えがたい咽頭-舌根部の痛みを主訴とし, しばしばその痛みは同側の耳に放散する. その原因として脳幹から分枝した舌咽神経 (および迷走神経感覚枝) の分枝部 (root entry zone: REZ) を正常の血管が接触・圧迫しているためと考えられている. 正確な問診が最も重要であり上咽頭への局麻テスト/MRIにより最終的に診断する. GPNの初期治療はCarbamazepineによる薬物治療であるが最終的に薬剤の効果が不十分である症例では開頭による微小血管減圧術 (Micro Vascular Decompression: MVD) または舌咽神経と迷走神経の一部の切断術 (rhizotomy) が有効である.