- 著者
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森本 和寿
- 出版者
- 京都大学大学院教育学研究科
- 雑誌
- 京都大学大学院教育学研究科紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.67, pp.123-136, 2021-03-25
本稿は、ライティング教育はどのような視点から、どのように分類できるかという問題意識の下、米国におけるジェームズ・バーリンとリチャード・ファルカーソンの分類に着目し、ライティング教育の理論的な分析枠組みを描くことを試みた。先行研究において見落とされていた1980年代のバーリンの研究成果を検討することで、ファルカーソンの分析枠組みを修正し、より妥当な枠組みを提供することを目指した。本稿では、価値論/認識論、教授学、評価の3つの観点と現代的伝統修辞学、認知主義、表現主義、批判的/文化研究、手続き的修辞学という5つの立場で構成される新しい分析枠組みを提示した。これにより、①認知主義のポリティクスへの分析視角が保障される、②「プロセス」概念を教授学に組み込むことで分析視角が明瞭になる、③価値論・認識論に関わる論点と評価論に関わる論点を個別に検討できるという改善が得られた。