著者
森本 安夫
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.785-796, 1986-09-20

van der Pol振動子の強制振動を数値的に解析すると,理論的に予言されていない種々の現象が見出された。これは理論では無視せざるを得ない種々のモードを数値解では自動的に取り込んでしまう為であろう。とりわけ興味深いのは,準安定な振動モードの存在と,系が外力により転移する際発生する臨界的な緩和現象である。準安定なモードとは,本来は不安定な領域であるにも拘らず,有限の時間安定に存在することを指す。これは定常解の存在を仮定する解折からは導出不可能であり,数値解による新しい発見と言える。