著者
小島 亜有子 久保田 敏昭 森田 啓文 田原 昭彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1519-1522, 2008-09-15

要約 目的:ステロイドレスポンダーの臨床的特徴の報告。対象と方法:副腎皮質ステロイドの点眼または内服で眼圧が5mmHg以上上昇し,かつ25mmHg以上になった17症例をステロイドレスポンダーと定義した。7例は全身投与,10例では点眼が原因であった。男性9例,女性8例で,年齢は15~82歳(平均49歳)であった。診療録の記述からその特徴を検索した。結果:屈折は右眼-3.58±2.72D,左眼-3.50±2.58Dであった。ステロイド投与開始から最高眼圧に達するまでの期間は,全身投与群では9.8±13.5か月,点眼群では10.5±12.7か月であった。最高眼圧は全身投与群31.7±5.3mmHg,点眼群40.6±13.7mmHgであった。眼圧の上昇率は全身投与群143.0±103.1%,点眼群154.1±100.9%であった。すべての項目で投与方法による有意差はなかった。全身投与群では両眼の眼圧が上昇し,点眼群では点眼側の眼圧だけが上昇した。結論:ステロイド投与では,点眼だけでなく全身投与でも眼圧が上昇することがあり,かつ長期の経過観察が必要である。