著者
森田 廣
出版者
山陽小野田市立山口東京理科大学
雑誌
山陽小野田市立山口東京理科大学紀要 = Bulletin of Sanyo-Onoda City University (ISSN:24342866)
巻号頁・発行日
no.4, pp.77-83, 2021

東日本大震災の直後に本学に着任した筆者は、その後の未曾有ともいえる風水害も目の当たりにしながら、自然災害に強い再生可能エネルギーの研究に取りかかった。この10年、他の研究者があまり着手していない領域の研究を同じ意志を持つ学生たちと続けてきた。その中でも特に思い入れのある3技術を紹介する。紫外線を電力に変える透明太陽電池についてはその形成技術も含めて開発し、世界最高レベルの効率を達成した。風レンズ効果を用いたディフューザー付きの風力発電は、弱風下でも発電が可能なことを示すことができた。さらに、微生物を起源とする土壌微生物燃料電池については筆者らが初めて実施した多孔質体の導入により、従来の発電電力の10倍を達成して実用化に近づけた。この地は、瀬戸内ゆえの日照時間が長く、弱風ながらいつも風のある、湖沼や田圃が多い環境にある。それらから自然エネルギーを頂き、電力に変えてエネルギーの地産地消の実現につなげていきたい。