著者
星 博幸 森里 真希
出版者
名古屋地学会
雑誌
名古屋地学 (ISSN:13450514)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.15-20, 2019 (Released:2019-03-21)
参考文献数
34

愛知県蒲郡市竹島は,花崗岩質岩石(苦鉄質岩を含む)の露頭および転石に残された矢穴と刻印の存在から名古屋城石垣採石丁場の一つと考えられている。それを自然科学的手法により検証し名古屋城築城の実態解明に資する基礎データを得るために,筆者らは竹島を構成する花崗岩質岩石の帯磁率(初磁化率または初帯磁率)を測定した。竹島の帯磁率は最小値(0.05×10−3 SI)と最大値(56.3×10−3 SI)の差が3桁にも達する幅広い変化を示す。大まかに見れば片状花崗閃緑岩よりも苦鉄質岩のほうが高い帯磁率を示す傾向があるが,苦鉄質岩でも0.5×10−3 SI以下のやや低い値を示す場所がある。地理的に見ると,西側海岸の中央部付近と東側海岸の中央部付近の岩石が高い帯磁率を示す傾向があり,その高帯磁率帯のトレンド(WSW–ENE)は苦鉄質岩の分布トレンドや島北半部の片状構造の一般走向と斜交している。島の南端~南東海岸の岩石は比較的低い帯磁率を示す傾向がある。露頭に多数の矢穴が穿たれている島北西部の海岸露頭では帯磁率が1×10−3~3×10−3 SIの範囲であった。