- 著者
-
植田 志摩子
- 出版者
- 帯広大谷短期大学
- 雑誌
- 帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, pp.49-55, 1998-03-25
米味噌5種、麦味噌、豆味噌、加工味噌各1種の市販の銘柄味噌を用いて、タンパク質・水分・食塩含量および遊離アミノ酸量等を測定し、次の知見を得た。1.西京白味噌および金山寺味噌は、他の味噌に比べて水分含量、食塩含量が共に低かった。2.タンパク質含量は、豆味噌>米味噌(西京白味噌除く)>加工味噌>麦味噌の順であった。また、味噌の銘柄別にみると、八丁味噌のタンパク質含量が最も多く、次いで、信州味噌であった。一方、少ないのは長崎味噌および西京白味噌であった。よって、タンパク質含量は、麹の種類や歩合の影響を受け、大豆の使用量と正の相関があることがわかった。3.食塩含量は麹歩合の低い仙白味噌が最も多く、次いで信州味噌であり、その含量が少ないのは麹歩合の高い西京白味噌であった。食塩含量は辛口・赤味噌では白・甘味噌の約2.8倍であった。4.食塩含量と水分含量の関係についてみると、西京白味噌と金山寺味噌で共に低い値を示していた。5.最もpHが低いのは八丁味噌、次いで赤味噌、長崎味噌であり、高いのは西京白味噌であった。6.味噌の明度が最も強いのは、熟成期間の短い西京白味噌であり、一方、弱いのは八丁味噌および赤味噌であった。7.明度とpHの関係において、両者とも高い値を示しだのは、西京白味噌(色L^*58.69、pH5.20)、次いで純正米麹味噌(色L^*52.94、PH5.13)、信州味噌(色L^*51.72、pH5.16)であり、低い値を示したのは、八丁味噌(色L^*22.5、pH4.55)、次いで赤味噌(色L^*30.92、pH4.75)であった。よって、味噌のpHと明度は強い相関のあることがわかった。8.遊離アミノ酸量は1,036.5〜3,416.lmg/100gであり、豆味噌>米味噌(西京白味噌除く)>加工味噌>麦味噌の順であった。9. 15種類の各アミノ酸において類似したのは、米味噌で淡色糸の純正米麹味噌と信州味噌が、そして、赤色糸の赤味噌と仙白味噌であった。10.主な遊離アミノ酸量では、各味噌ともグルタミン酸が最も多く(106.6〜746.1mg/100g 、平均328.9mg/100g)であり、組成比で7.3〜25.1%を占めていた。次いで、プロリン、アルギニン、ロイシンの順に多かった。11.麹の原料別にみると、アスパラギン酸、アルギニンおよびリジンは米味噌(西京白味噌除く)>豆味噌>麦味噌・加工味噌の順に多かった。